ショートソング

ショートソング (集英社文庫)

ショートソング (集英社文庫)

■小学生のころから、本は好きだったけど詩や短歌は嫌いだった。なんでこんなの習うんだろうと思った。あまりにも個人の解釈によっているんじゃないかと思って。今でもあまり自分からは近づかない。音楽の歌詞も読まないことがほとんどで何気なく口ずさんでいたら勝手に歌詞を間違って聴いてたってこともよくある。
■でも、この本はあらすじがクールだったので読んでみた。だってハーフの美男子にチェリーボーイにプレイボーイなのに歌人なんだもん。なんだこりゃ。
■文章も2視点からの短い話が積み重なって進んでいくシンプルでテンポがよくて読みやすい。大量に出てくる短歌には相変わらず読み飛ばしたい衝動に駆られながらも中盤あたりまで楽しく読めました。この短歌、読んでみるとなかなか面白い。短歌って真面目で硬いイメージだったんですが、こんなしょうもないこと歌にしちゃうんですね。切れ目とかも綺麗じゃないし、季語もいらないし(習ったはずなんだけどね…)。食わず嫌いだったのか。段々普通の文でもテンポの良い5・7・5調で読みたくなってきたりして。でも何かずっと読んでると疲れてしまう。いちいち世の中を表現しなくてはならないという義務が感じられるからかな。型にはめてしまうからかな。単純に読みなれてないからかもしれない。
■読みやすく展開も気になるので1日で完読。後半はちょっと疲れる。痛い感じ。ううん、何でだかよくわからないけど。先輩に会うあたりから心の動きが分からなくなってしまった。もうちょっと背景をしっかり描いてほしいかな。みんなが自分勝手に見えてイライラする。そんなもんか。前半のシニカルさは好きなのにシニカルな短歌を歌いながらでもシニカルであり得ないところが、私は好きじゃない。

★★☆☆☆