四季 夏 (講談社文庫)

四季 夏 (講談社文庫)

■四季シリーズの2冊目。結構前に買ってたのですが何やら色々あってなかなか読めませんでした。
■あの夏の真実―、ということで、「すべてがFになる」に繋がる過去の話。四季の天才振りがこれでもかと拝めます。でもそれ程の天才にすら、わからない迷うことがあったのだ、という話。…なんか違う気もするけど。Fの時も「有限と微小のパン」の時も「春」の時も、あまり四季が人間的に見えないというか、抽象概念的に見えてたのですが、今回は血と肉のある人間に見えました。その上での判断は理解の上を滑るような感じのものでしたが。その感覚は嫌いじゃない。正直テーマなんてどうでも良い気すらします。何か好きだ。
■凄惨な話に落ちると分かっていながらも、そして事件が起きてからも、あまり負の印象の感じられない本でした。なんだかよく分からない気もする。でも面白い。夏ですが、暑い描写があるのにも関わらず暑い夏ではなく、冷たい鋭い夏のような感じです。最後に事件が起きてそこでズバッと終わるところも好きでした。音楽がプチッと切れるような、情景が綺麗な。うーん、本当になんて書いたら良いのかよくわからない。
■そうそう、「春」に続いていろんな関連キャラクターのオンパレードでした。ほとんどが顔見せ程度ですが。犀川&喜多の学生時代にはニヤリとさせてもらいました。相変わらずファンサービスばっちりです。Vシリーズは後半読んでないんでしが、読んでみようかなと思わせられているあたり、商売上手の方かもしれませんが。

★★★★☆