夏
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/11/16
- メディア: 文庫
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■あの夏の真実―、ということで、「すべてがFになる」に繋がる過去の話。四季の天才振りがこれでもかと拝めます。でもそれ程の天才にすら、わからない迷うことがあったのだ、という話。…なんか違う気もするけど。Fの時も「有限と微小のパン」の時も「春」の時も、あまり四季が人間的に見えないというか、抽象概念的に見えてたのですが、今回は血と肉のある人間に見えました。その上での判断は理解の上を滑るような感じのものでしたが。その感覚は嫌いじゃない。正直テーマなんてどうでも良い気すらします。何か好きだ。
■凄惨な話に落ちると分かっていながらも、そして事件が起きてからも、あまり負の印象の感じられない本でした。なんだかよく分からない気もする。でも面白い。夏ですが、暑い描写があるのにも関わらず暑い夏ではなく、冷たい鋭い夏のような感じです。最後に事件が起きてそこでズバッと終わるところも好きでした。音楽がプチッと切れるような、情景が綺麗な。うーん、本当になんて書いたら良いのかよくわからない。
■そうそう、「春」に続いていろんな関連キャラクターのオンパレードでした。ほとんどが顔見せ程度ですが。犀川&喜多の学生時代にはニヤリとさせてもらいました。相変わらずファンサービスばっちりです。Vシリーズは後半読んでないんでしが、読んでみようかなと思わせられているあたり、商売上手の方かもしれませんが。
★★★★☆