暗いところで待ち合わせ

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

乙一は随分読んでます。さらさら読めて良いんだけどちょっと軽いなぁと思ってます。でも重いものばかり読んでても疲れるので、たまには良いなぁと思ってます。
■これは、書店で平置きされてて(映画化だから)、なんとなく裏表紙を読んだらあらすじが凄く良かったので買ってみました。正直にこの設定は凄すぎると思います。これだけでしばらく楽しめるくらいです。
■なので、序盤は大変面白かったんですけど、終盤はちょっといまいちでした。ミステリー系なのでどんでん返し的なものがあるんですが、それが弱い。悪い意味で予定調和的。前半のこのどう転んでもハッピーエンドにならない展開をどうやって終わりにするのかが面白かったのに、安易などんでん返しで落ちてしまったみたいな。登場人物も少なめなので、絡まる糸としてプラスになりそうな最後に明かされる人間関係も、あまりにも作られたものみたいで、興ざめでした。
■最後で語られる主題めいたものも何かストレートすぎて認めづらい。これは自分にもそういう面があって痛いだけにより一層、こんなに簡単に解決させて欲しくない、ってところもあって。子供な私は返って反発したくなるようでした。
■でも、とか書きながら、最後の本当の最後、257ページだけは好きです。安易だろうが虚構だろうがこういうほっとする雰囲気が出ててそれがじわじわ染み込んでくる感じ。これがあるから、まぁその前の部分も流そうかと思ってしまう。だからやはり乙一は上手いってことになるのかなぁ…。なんか評価に困ってしまう作品でした。とりあえずの設定の美味しさで星3つにします。
■追記>あちこちの評価が凄くいいんですね、これ。個人の感想だから別にどうでも良いんだけど、ひょっとして私のこころが乾いてるんじゃないかと思っちゃったです。もっと素直に読まなきゃだめなのかなぁ(村上龍とか読んでるからですかね)。あ、映画版は良さそうだと思います見てないけど。なんていうか映像向きの内容だと思ったので。描写で丁寧なせいか映像映えしそうと思いながら読んでました。

★★★☆☆