卒業

卒業 (新潮文庫)

卒業 (新潮文庫)

■手が空いたので次の本を買いに言ってなんとなく手に取りました。重松清は何冊か読んでるんだけど、その度にあまりに痛くて辛くなってしまうので、正直あまり読みたくないくらい。でもこれはあらすじが面白そうだったので買ってみました。
■良かったです。もうこんなにボロボロと泣いたの久しぶりです。何でこう短い文章なのに(短編4つです)いとも簡単に人の感情を揺さぶれるのか不思議です。1話目なんてファーストフード店で読んでたのに涙が出てきて、一生懸命我慢してたから鼻とか真っ赤になってて、きっと周りから失恋でもしたんじゃないかと思われたのでは無いでしょうか恥ずかしい。
重松清はよく子供と親の話を書いてる気がしますが今回もそんな話。この中では表題作の「卒業」が一番好きでした。揺れるコップのイメージが新しかった。割と読後感爽やかだし。…というか、今回はどれも後味悪くなかったです。どれも強烈ですがね。
■私はまだ両親とも健康に生きてるし、祖父母も2人とも生きてる(もう片方の祖父母は私の母もあったことが無い)。だから本当にリアルな意味で(親戚は遠いから)血が繋がっている人がいなくなってしまったことが無い。でもそれはそう遠くない未来に予想されることで、そういうことを考えるから、こんなに泣いてしまうのかと思いました。年に数回しか会わないしそんなに一般から見て凄く仲が良いってわけじゃないとは思うんだけど。血が繋がってるって他にはない重大なものがあるんでしょう。当たり前に愛し愛されるって幸せだけど哀しいなぁ。
■今、過去の重松清の本の感想を読み返したら「救われる」とかどうとか書いてました。この本もそうだなぁ。あとがきで「許す許される」がどうのって作者も書いてましたが許す許されると救われるから、きっと重松清のひとつ通った物なんだなぁとか勝手に納得してしまいました。…違ってたらごめんなさい。私の解釈ってことで。

★★★★☆