コインロッカー・ベイビーズ

コインロッカー・ベイビーズ(上) (講談社文庫)

コインロッカー・ベイビーズ(上) (講談社文庫)

コインロッカー・ベイビーズ(下) (講談社文庫)

コインロッカー・ベイビーズ(下) (講談社文庫)

■私にとって、村上龍はひどい2面性を持った作家です。はじめに読んだ限りなく透明に近いブルー」がちっとも理解できず、はぁ?と思ったんだけど、しばらくして読んだ「空港にて」がとても良くて、その後も良かったり駄目だったり。普段は好きな作家は好きということが多いので、村上龍だけ不思議な作家です。
■これは、こないだ読んだ古川日出男サウンドトラックが、これを原案にしていると解説に書かれてたので、前から気になってた本だし、ということで読み始めました。
■上下巻ではあるけれどそんなに厚さはないのに、すごく時間がかかってしまいました。サウンドトラックの感想を書いたのが11月10日なので実に20日間近くも読んでたことに。まぁ実際結構忙しかったから、全く読まない日もあったので、そんなに時間としてはかかってないのかもしれませんが、印象的には読んでも読んでも遅々として進まない感じでした。何でだろう。
■内容は、確かに、サウンドトラックによく似ている。でも全然別の話でした。印象もキーワードも似てるのにやっぱり違う。どっちが良いとか悪いとかじゃなくて違うものでした。でも面白かったです。これは良いほうの村上龍みたいです。最後数ページはかなりゾクゾクしました。
■屈折した世界なんだけど説得力がある。説明できないし混乱もしてるけどそれが嫌な感じじゃない。そしてこれもまた最後は希望なのかなと思いました。なんとなく。
■よく見たらこれの文庫版の発売されたあたりに私は生まれたんだった。なのに全然古い感じがしなかったです。現在に出版されて、近未来の東京の話です、と言われても、私は疑問を感じなかったかもしれない。それくらい、人間は変わらないってことなのか。救われないなぁ。

★★★★☆