ハゴロモ

ハゴロモ (新潮文庫)

ハゴロモ (新潮文庫)

■身内から借りました。家はすっかり本は共有制度。別々に住んでるのに。同じ環境で生活してたのでそれなりに趣味が被ってるのが良い所。でもみんなハードカバーは買わないので最新の本は読めない…。
よしもとばななは割と好きです。何の作品が好き?って言われてもパッとは浮かばないし、好きな作家を挙げてって言われても多分挙げないんだけど、雰囲気が好きです。江國香織と似てる気もしますが江國さんより鋭い感じ。でも優しい。江國さんは読んでると結構周りから締め付けられるような圧迫感があるんだけど(そこの切迫観も好きなんですけど)、よしもとばななさんはあまりそういう気がしない。個人的な感覚ですが。
■さてハゴロモ。綺麗な恋愛小説でした。作中で語られ続けるさらさらと流れる河の音が読み終わっても聞こえてくるような作品でした。
■短めですぐ読めます。でも、充実してる。心地良い感覚です。読みやすいのですが、私は一文あたり所々飛ばして読んでるようで(安易な文だと特に)、でもたまにそれが堪らなく勿体無く感じて、何度か戻って読み直すことがありました。不快じゃないこの感覚は感じたことがないので不思議でした。ストレートじゃないってことなのか、それとも良い文だからなのか。
■お話は失恋から始まって癒される話なんだけど、読んでるこっちまでも癒される気がする。あとがきでよしもとばななさんが書いていた内容に頷いてしまいました。
■現実の中にファンタジー(奇跡、かな?)が紛れてきてその様子が、東京には無い、地元の町の独特の雰囲気に繋がっていて見事でした。感覚だけじゃなく計算された文なのかも。
■失恋はしたくないけど、こういうのって良いなと思いました。

★★★★☆