都市伝説セピア

都市伝説セピア (文春文庫)

都市伝説セピア (文春文庫)

■新刊コーナーにて何気なく手に取る。都市伝説って好きです。現実と仮想が混ざるあたりが。原因はきっとあるのでしょうが自然発生的なところも面白いなぁと思います。
■で、この本。良かったです。都市伝説的な話が短編で5つ入っているのですがどれも完成度が高い!物語として惹き込まれるものがあり、最後にスッと寒気が走る感覚があり、正に都市伝説な雰囲気の話ばかりです。
■特に面白かったのはオール讀物新人賞を貰ったらしい「フクロウ男」。仕掛けはありがちかもしれませんが、都市伝説の不思議さというか魅力というかそういうものが良く出ていると思います。滑り落ちていく感覚の恐怖とかね。ちょっと有り得なさが強すぎるかなとも思いましたが、現在の検挙率の低さを考えると案外有り得ない話では無いのかもしれません。凄惨といえばそうですが割合この話は読後感も悪くないと思います。
■読後感が怖かったのは「死者恋」。みんな狂ってる。中盤本気でぞっとしたのは「月の石」。人間にとって一番怖いのは後悔している過去を突きつけられることかも、なんて思っちゃいました。夜中に静かな部屋で読んでたのも一因か。比較的さらっとしているのは「アイスマン」。夏祭りの描写は凄い。でも落ちはそんなに凄くない。ファンタジーとして面白いのが「昨日公園」。運命は変えられないのか、と。それぞれの作品に別の魅力があり、それでいて一貫している要素があり、面白いです。
■上手いなぁと思うのがどれもとても情景描写が見事なことです。夕日、祭り、森、公園、雪原、万博、その匂いみたいなのが伝わってくる感じです。ちょっと過去の古い現代を入れているところも一役買ってるのかな、人外の何かが支配するゾワゾワするものがあり、都市伝説として成立しているところが上手。何となく買っただけに嬉しい誤算の面白い本でした。直木賞を貰った作品も読んでみたいです。
★★★★☆
■都市伝説関係リンク

■「うわごとのとなり」:白い糸とか医療関係のから色々。でも夜中にはおすすめしません。
■「」:2ch系。あの掲示板の存在自体が都市伝説ちっく。「コトリバコ」は斜めに構えないと素で怖いので注意。
■「都市伝説広場」:同じく2ch系。上のはホラーだけどこっちはそうとは限らない。個人的に作って広めるがウケた。
■「都市伝説 - Wikipedia」:辞典らしく客観的な書き方なのであんまり怖くは無い。
■「医学と健康の都市伝説的な話いろいろ」:ブログ。都市伝説以外の話題も面白いです。