流星ワゴン

流星ワゴン (講談社文庫)

流星ワゴン (講談社文庫)

重松清は痛くて痛くて読むたびに動揺するのだけれども、たまに無性に読みたくなってしまうのです。流星ワゴン、読みました。
■初めてじゃないのかな、と思います、重松清の救われる終わりは。いつもいつもよくもここまで人を不幸に突き落とせるものだと思っていたのですが、これは救われました。決して完璧なハッピーエンドではありません。サイテーのサイアクの、もう、めちゃくちゃでどーしようもない終わりでも、そこには大きな救いがありました。実は26章ではボロボロに泣かされだのですが、嫌な涙では無かった、そして必要な涙な気がします。やっぱり泣くと色々鬱屈したものが出て行きますから。
■無駄のない文章だと思います。人の感情を引っ張り引っ掻き掻き回すことに掛けてはやはりこの人に敵う作家はいないと思います。他の作家と何が違うか分からないのですけれど、この本を読んでいて「冷たさ」が違うのではないかと感じました。切り捨てることに文章から見える後悔が無い。まるで運命のようにね。だからこそ、今回みたいに救われるとその重みが違います。2度目に読むにはパワーが必要ですが、ゾクゾクする本でした。面白かったです。
★★★★☆