有限と微小のパン

有限と微小のパン (講談社文庫)

有限と微小のパン (講談社文庫)

■あけましておめでとうございます。
森博嗣のS&Mシリーズもついに最後の1冊になってしまいました。読み終わるのが勿体無い…それに賛同するかのような素晴らしい厚さです。ページめくりにくい、分冊してくれれば良いのにと正直思いました。
■これはシリーズを締める上でこの上ない人たちが出てきます。全てがFになるからこう巡り巡ってという雰囲気の計算しつくされた恐怖が漂います。うーん、人間の行動なんて想定できるものなのでしょうか?個人の考えの違いなんて誤差範囲?と。全てを超える存在である真賀田四季の存在がどこまでも異質であり面白いです。
■そういえば今までの9冊は萌絵の物語である感が強かったですがこれは犀川の物語のようですね。最後の場面で暫く立ち止まってしまうような、そんな感じでした。海岸を歩いている場面も素敵です。このあたりの台詞1つ1つが面白い。好きです。
■それから。どこに不時着すれば良いのかわかりませんが、犀川と萌絵の関係が相変わらずのままで終わったのもまた…。もどかしいんだけれど結婚していただくわけにもいかないしなぁと微妙な心境です。この2人が微笑ましくて好きです。人恋しくなるけれども。
■終わりが知りたい、でも終わってしまうのは哀しい。なんて私は我が侭なのでしょう?まぁこのシリーズはたまに短編になってるので良いとしましょうか。
★★★★★