詩的私的ジャック

詩的私的ジャック (講談社文庫)

詩的私的ジャック (講談社文庫)

■土日はバイトのため夜を徹して本を読むわけにも行かずちょっと間が空いてしまいましたが、またしても森博嗣です。ええと、4冊目…かな。今度はまた舞台はN大学周辺です。
■これは何か、カンで何となく犯人がわかるような話でした。手段は兎も角、誰が怪しいというのが見えるような人物配置です。
■そして最後までいってもトリックよりも動機のほうが魅力的(というのは変ですが)な話です。すべてがイコールねぇ…何かわかるかも。殺人まではわからないけれども。篠崎もなぁ…彼の理由をああしたのはかなり面白いと思います。
■でもだからといってこの本の魅力が薄れるわけではありません。やはりひどく面白い。人間とその台詞回しが良いです。犀川先生はいたら本気でかっこいいかもしれない。実際こんなに魅力的な研究者ってなかなかいないような…というのは偏見ですか…。萌絵も好き。この2人の関係がじれったいながらもツボを得てます。それから何気に国枝がかなり良い。少ない台詞で直線的な人間が魅力的。萌絵が研究のことを国枝に相談する場面(ちょっと自分のリアルな立場的にも耳に痛い…けれども)と犀川と篠崎の2人だけで納得してしまった場面が面白かったです。日本語って曖昧ですねぇ…そんな必要はなかったのかなぁとか色々考えちゃいました。あと、その直後の萌絵と犀川の会話。こういう意味のあるようなないようなそんな場面も好きです。
★★★★☆