冷たい密室と博士たち

冷たい密室と博士たち (講談社文庫)

冷たい密室と博士たち (講談社文庫)

■昨日に引き続き森博嗣。昨日、「すべてがFになる (講談社文庫)」を読み終わり、買ったのがこれです。まぁとりあえず順番に。
■これは「すべてがFになる」よりも綿密で正確な密室ミステリー。とんでもなく突飛なことは無く、天才もいない。でも良くできてると思いました。
■それに、これは事件が起きる場所が工学部土木学科の研究室。その空間的面白さがポイントかなぁ、と。私も工学部なので(土木ではありませんが)、なんとなく分かる、といった雰囲気がとにかく面白い。ニヤリとしてしまうような場面がいくつかありました。「密室の境界条件」という言葉とか「M1」という表現とか、さらにはUNIXの「telnet」とか。さすがそういう現場にいる作者が書いているものだなぁ、と。
■ミステリーとしては良く言えば綺麗にまとまった、悪く言えばありがちな、物語。ミステリーていうか物語として、かな。まぁ動機まで含めたところで。でも、それを犀川、萌絵、喜多といった面々が面白くしています。彼らの「切れ方」が凄い好きです。
■そして何より、たまには勉強しようかなぁと思っている自分が面白いです。研究者まではやるつもりはありませんが、教授たちを見てるとそういうのも悪くないと思う次第です。
■あ、でも一つ気になったのが、物語りを語る視点が犀川と萌絵の間を行ったり来たりするので一瞬どっちの心なのかわからないことがありました。後を読めばすぐわかるので小さなことなのですが。2人の心が見えるのは楽しいのだけれどもちょっと読みにくいと思ったので。
★★★★☆