オーデュボンの祈り

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

オーデュボンの祈り (新潮文庫)

新潮文庫の100冊の締め切りもうすぐだ…と思い新潮文庫。あとちょっと宗教的なのを読みたかったので宗教的タイトルがついたもの。…違ったかも?
伊坂幸太郎は初めてです。別に文体として珍しいものでもないのですんなり読めました。ただ、時々会話回しが個人的に気に入らなかったり、ドキリとするような比喩や表現が見られないのはちょっとマイナス。
■お話は先の展開が気になるセミファンタジーなミステリー。現代が舞台なのにビックリするくらいの突飛な設定です。鎖国状態の島、話し予知する案山子、逆のことしか話さない狂った元画家、足の不自由な鳥好きの青年、立ち上がれないほどに太った女、殺人が社会から許された男。涎が出るほどに美味しい設定の山です。こういう配置をできるのはすごいです。お陰で真ん中あたりまでは惹きつけられて楽しんで読めました。が、その後のミステリーの謎解きの部分が弱い。というか、カチッとはまりすぎる。伏線が引いてあってそれを回収していくのは良いんだけど、何か、全てが予定調和すぎる。主人公は名探偵ではないけれど、名探偵にするつもりは無いと書いているけれど、名探偵のようです。ラストの欠けていたものへの流れは綺麗だけれど。もっと欠けているのもに触れていっても良かったかなぁ…。ページ数の割りに薄いような気がします。
■ところで、作中に出てくる、リョコウバトジョン・ジェームズ・オーデュボン、実在なのですね。知らなかった。リョコウバト…こういう絶滅もあるのですね。人間は哀しい。
★★☆☆☆