疾走
- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/05/25
- メディア: 文庫
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- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 角川書店
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■ナイフ (新潮文庫)を結構前に読んだことがありまして。これが余りに恐ろしかったので、重松清の本は見かけても買わないようにしていました。よく見るのですが。怖いというか、痛いというか。精神的に辛いのです。
■今回も、まぁその期待というか観念というかには違わず、非常に怖い本でした。人間の汚さや弱さや影がクッキリと姿を映されています。そして、写るものは必要以上に化け物です。またさらに、この本は語り口も怖い。「お前」と言われ続けることで、自分自身の一部分を見ているような気分になる。語り手が姿を現すラストは見事でした。本当にそこまでは辛くて長いのですが、最後の最後、ほんのちょっと救われた気がする。本当に悲しいけれど、少しだけ。人間は「ひとり」であるが「ひとり」では生きられなくて、「ひとり」をどう処理するか、結局主題はそこになるのかもしれないが、こういう答えの出し方はひどく潔いと思いました。たまにしょうも無く人を抱きしめたくなる私は危ないですか?大阪に初めて行ったときの主人公の気持ちがわかりすぎる。
■こういう本を目の前にすると何を書いても舌足らずな気がする。
★★★★★