幸福な遊戯

幸福な遊戯 (角川文庫)

幸福な遊戯 (角川文庫)

直木賞作家のデビュー作という帯に惹かれて購入。
■失礼かもしれませんが、江國香織さんの文体と似ている気がしました。ドキッとする言い回しは江國さんの方が多いけれど、繊細な感じが似てる。
■現実離れした空気の漂う短編が3つ。いや確かに現実なのだけれど。上の本とは対照的な印象です。
■3つの短編が入っているのですが、最後の銭湯の話が良かったです。普通なのに、冷たい怖い。足掻きながらでも結局堅実な道を選んでしまうのは、なんというか悲しい話ですが自分自身を見てるようでした。まぁ自分は会社であっても本気で納得いかなかったら切れるかもしれませんが。当たり前の幸せに満足する面と当たり前の幸せでは満足できない部分。誰もがこっそり持つのかもしれない、その危うい感じがよく出てたと思います。
■前2つは個人的には消化不良。ぷつっと切れて終わってしまった感じがします。最初のとか雰囲気は大好きなのでちょっと残念でした。
★★★☆☆