六番目の小夜子

六番目の小夜子 (新潮文庫)

六番目の小夜子 (新潮文庫)

恩田陸第3弾。「ネバーランド」「球形の季節」に次ぎ、デビュー作を。
■高校の情景の場面がとても好きでした。まるで、ある側面で自分自身の過去を見ているようで。地方の進学校というキーワードが一緒だからかな。確かに学校というのは異様な空間なのかもしれない。そこには様々なものが閉じ込められる。些細なことが噂となり言い伝えとなる。あの空間は好きだったけれど二度と戻れない、そう思ったら読んでて哀しかった。あのころ、読まなくて良かったと思う。無くなることを突きつけられるのは辛い。
■そんなことを考えてたらミステリーのほうはそっちのけでした。ってか、解決したの…?よくわからなかったです。誰もがちょっとずつ関わって作っていたということなのでしょうか。ファンタジー的に誤魔化された感じです。集団心理の怖さはもう麻薬的でした、けれど。後半の例の場面はぞっとします。
■「秋」という人間が好きでした。カメラで写真を撮るのが傍観者でありたいからというのは分かりすぎて痛かった。彼は自分の中の一面と似ている。
■なので、人物、情景、物語としてはかなり好きですが、ミステリー(ホラー?)としてはいまいち。という印象です。もう一度読んだら変わるのかも知れませんが。
★★★☆☆