球形の季節
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/01/28
- メディア: 文庫
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■そんなわけで。ちょっと冷静に読めてたのかの自信が無いです。しかし、妙な感覚を差し引いても場面描写はよく出来てると思いました。私が東北出身なせいかもしれませんが。岩手じゃないけれど。人間の感情もわかる。敷かれたレールに絶望しながら、でもレールが無くなることを怖れているんです。子どものころあんなに欲しかった自由が今はいらない。いつの間にか埋没していくことのほうを望む人間になっている。自分が特別じゃないって気がついたのはいつだろう。そんなすごく現実的な物の中に、段々異質な別世界が紛れ込んでくる。その感覚が心地よかったです。ホラーでは無いけれど、もっと怖いですね。
■しかし、ラストは少し尻切れトンボな気分でした。残りページが迫って来るのに、終わりが見えないとあくせくとページをめくっていましたが、まさかこういう終わりだとは。…だから覚えてないのかと一瞬思いました。怖すぎる。封印したんじゃないかと。この物語はどんな終わりでも納得いかない気がします。だから、こんな終わりなのかもしれません。
■でも、正直。私も跳べるなら跳びたいと思う。たとえそれが幸せじゃなくても。
★★★★☆