殺し屋シュウ

殺し屋シュウ (幻冬舎文庫)

殺し屋シュウ (幻冬舎文庫)

■読み終わり。このところ「ライ麦畑でつかまえて」を読んでたのですが、ちょっと軽めのを読みたくなって&本屋をいつもの習慣でブラブラしてたらオビに殺し文句が「急逝した著者がハリウッドでの映画化を夢見た幻のシリーズ」と。やられました。買ってみました。…本当、本には金に糸目がつけられません…誰か助けて。さっき読み始めて3時間くらい。時間があるのを良い事にまとめて読んでしまいました。いや、あまりそういうことするつもりは無かったのですが、続きが気になる展開でしたので。
■シュウが殺し屋になるきっかけ〜殺し屋となって仕事をする、という流れ。まとめて一作というより、同じ主人公の時間が流れていく短編の集まりみたいな(説明下手でごめんなさい)本でした。7章あって一応個々が独立しています。雰囲気的には映画「レオン」を思い出した。暗殺者だから、単純。あれよりもそもそものきっかけが別方向で重いですがね。それから「鼠たちの戦争〈上〉 (新潮文庫)」、映画だと「スターリングラード」ってタイトルでしたっけ?を思い出しました。狙撃だし、単純。…。ここまで単純なのは私くらいでしょうが、分かりやすく入りやすい雰囲気です。舞台も現代ですし。大学の風景がしばしば入るのですが、かなり頷ける感じで良い。そういう普通の雰囲気と闇の世界の噛み合せが怖い。怖かったから一気に読んだのかな。そういう本です。
■アクセントはカクテル。場面ごとに出てきて良い具合に収まります。飲みたくなってしまった…。美味しいお酒。私は詳しくないのであまり着いて行けませんでしたが、こういうのがスラスラ分かったら面白いんでしょうね。それから、出てくる銃もかなり本格的な様子。これまた詳しくないので分からないのですが。感触が伝わってくる感じで怖さを助長してます。
■7章の内、個人的には第3章と第5章が好きです。女性アーティストの話と元映画プロデューサーの話。潔さがとても綺麗でした。冷たさと優しさの分水点のような。泣ける話です。私にああいう選択はできそうにもありません。誰の立場だとしても。もし、オビの文句の通り映画化するとしたら組み立ては第1章、第2章、第3章、最後の第7章でしょうか。キレのある良い映画になりそうです。少しありがちな気がしますが。しかし、映像映えがしなくても、私は第5章が好きです。第3章もそうですが、短編としてのまとまりが良いと思います。だから映画には入れにくいような。むしろ連続ドラマとかで見てみたいと思いました。
■読書後、参考になりそうな。→カクテル×カクテル世界鉄砲図鑑
★★★☆☆