国境の南、太陽の西

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

これまた読み直し。前に読んだときに物凄く衝撃を受けた記憶があるのですが(感想にはあまりそのへんのところを書いていませんが→「村上春樹 - 歩くパンケーキたち」)、今回は割りと普通に読めてしまいました。やはり、本への認識というのは、その時に置かれている自分の状況に凄く影響を受けるんだろうと思いました。良いことは良いんですが…期待値の部分を差し引いて。
でも、やっぱり「ヒステリア・シベリアナ」の部分は凄く印象に残る。

東の地平線から上がって、中空を通り過ぎて、西の地平線に沈んでいく太陽を毎日毎日繰り返して見ているうちに、あなたの中で何かがぷつんと切れて死んでしまうの。そしてあなたは地面に鋤を放り出し、そのまま何も考えずにずっと西に向けて歩いていくの。太陽の西に向けて。そして憑かれたように何日も何日も飲まず食わずで歩き続けて、そのまま地面に倒れて死んでしまうの。それがヒステリア・シベリアナ

これはフィクションなのかな。検索しても、書いてるのが村上春樹だけじゃないみたいだけど、そのものずばりが出てこないってのはフィクションなのかもしれません(村上春樹「国境の南~」に出てくるヒステリア・シベリアナはフィクション? 【OKWAVE】)。でもこういう気持ちは分かる、気がする。何も無い繰り返しの虚無感というか。

★★★★☆