仏陀の鏡への道

仏陀の鏡への道 (創元推理文庫)

仏陀の鏡への道 (創元推理文庫)

■ニール・ケアリー第2弾を読んでみました。またまた大変な厚さですが色んな時間を削って読み読み。なかなか面白いです。
■とは言っても物語自体とかトリックとか仕掛け自体はそんなに面白いわけではないです。探偵推理モノではなく冒険モノかな。でもそこはつまらなくは無いけれど何かを削って読むほどの魅力は無い。という位。特にこの2冊目は1冊目にあって凄く面白かった探偵業の解説も無く、かといって探偵の仕事の成果もお粗末なのである意味でどうでも良い要素に成り果ててます(笑)。
■どうでも良くないのは、登場人物。このシリーズの魅力は登場人物の魅力だと思います。特に主人公のニールとその「父さん」であるグレアム、ライバル?であるレヴァインあたりが魅力的。彼らの人物造形や皮肉たっぷりな台詞回しがとにかく面白い!中国の人たちもなんだかんだと言って面白いですね。ちょっと訳の汚い言葉の部分の日本語のセンスがどうかと思うところもありましたが(個人的にはカタカナで書いてくれたほうが嬉しいです、日本にはこういう罵倒の言葉は無いのかな?)、全体としては読みやすいと思いますし。惜しむべくはニールとグレアムあたりの絡みをもうちょっと見たかったかなと。できたら共闘が見たいですね。皮肉の応酬雨霰が見れそう。
■上で物語はどうでも良いと書きましたが、最後の方で李蘭の過去の話のところは結構怖いものがありました。極限状態っていうのか社会っていうのか人間の脆さっていうのかそういうモノが。中国の文化大革命の知識は本当に教科書の文字の羅列でしかなかったのですが、物語とは言えこういう現実があるとは…。年表の裏に人の物語があるのは当たり前なのですが。ちょっと久しぶりにそんなことを思い出してみた次第です。
★★★☆☆