リアルワールド

リアルワールド (集英社文庫(日本))

リアルワールド (集英社文庫(日本))

■新刊で手に取りました。あまり期待せずに淡々と読み潰してたのですが、思いがけず、これは良かった。桐野夏生はたぶん初読み。
■ちょっと読み終わった直後なので上手く感想がまとまりませんが、「キラリン2」の章のあたりから回るように世界が迫ってきて圧倒されました。本当に設定とか出来事とか陳腐な出来事なのですが、それが逆転でとられるような感覚がこの章のあたりからしました。切り替えられる視点が何とも良い使い方をされているからでしょうか。見せているつもりのもの以上のものをきっと他人は見ている、それが姿を現すというか、気がつくと取り囲まれていることに驚きました。こういう感覚は久しぶりー。
■事件を起こす最初のきっかけは男の物語ですが、この本は女の物語です。女の子と言ったほうが良いのか。高校生くらいの当たり前の3人とか4人の女の子の。結構前に読んだものになってしまいますが、ふと「DOLL(ドール)」という戯曲を思い出しました。理由はあっても説明なんてしようのないこと、でも同姓には伝わること、何かそういうものを感じました。見事すぎて却って抉られたようで落ち着かないです。しばらく自分の中に堆積する話になりそうです。
★★★★☆