凹む本

プラナリア (文春文庫)

プラナリア (文春文庫)

芥川賞受賞作、の言葉に惹かれ文庫を購入。あ、そういや、やっとネットが復活しました。ぼちぼち書いていきます。
■最初に入ってる短編が「プラナリア」なのですが、何かどこかで読み覚えがある…。まさかと思ったのですが最近の新刊だし、ハードカバーは買わない借りないだし、身に覚えがありません。なんだろう、この感覚?それで、話は何とも凹むというか救われないというか。正直どこが良いのか理解できませんでした。うむむむ…?まぁ特に大きな病気をしたこともない奴が何を言うかという話なのかもしれません。けれど、この主人公の女の子春香の心がわかりません。そんなに周りの人を不幸にしたいのかと思ってしまいます。彼女が辛いのはわかるけれど、それで他人の行動に怒りを覚えるのもわかるけれど、だからと言ってその怒りを外に巻き散らかして良いわけではない、と私は思います。
■まぁ物語ですから、正しいことをする必要は何一つないのですが。でも、この話を読んで呆れる方の意味で哀しくなったり怒りを覚えたりしたことは確かです。私は読書することで楽しんだり救われたりしたい人です。この本はちょっとそれには合わないかなぁと思いました。
■それに比べて「ネイキッド」と「あいあるあした」は比較的気持ちよく読めました。先行きが見えなくても、何か掴む人の話は好きです。
■残り2つ、「どこかではないここ」と「囚われ人のジレンマ」はダメなほう。幸せになってほしいと思うのは甘いのですかね…。5つ中3つが苦手だったので、辛い、凹む、本でした。ほぼ1日で読んだのですが、気分は最悪に落っことされました。プチッと潰れそうです。そしてそれでも人と話してる時は笑ってる自分が怖いです。
■こういう話が怖いのは。ちょっと思い当たるのは、比較的今自分が幸せだということでしょう。勿論、大変なことも辛いことも嫌になることもあるけれど、トータル的には満足してます。でも、このような話を読んでると、それが一瞬で崩壊するのが人生だ、と突きつけられてるようで…。実際そうなのかもしれないけれど、私はその瞬間までは目を逸らしておきたいなと思うのです。いや、実際そうだからこそ、物語の中に救いを求めるのかもしれません。
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