ネバーランド
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/05/20
- メディア: 文庫
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■ちょっとピリッとした空気が漂う本です。冬休みに寮に残った3人の少年とそこへ遊びに来る1人の少年。冬の古びた寮で、最初はお互いに距離を測るように、それが段々役割を持ち始め、転機があって、それぞれの過去があって。流れがとても上手で一気に読まされてしまいました。理想論チックだけれど、こういう関係って良いと思うし、あのくらいの年頃にはきっとあったと思うのですよね(私は女なのであそこまで言い合う関係では無いのかもしれないけれど)。それぞれが背負ってるものはとても重いのですが、文章の雰囲気がそっちに引かれていない。それが見事です。幽霊とか冷たい風がこっちにも混じって来そうです。
■この4人は作中に何度も書かれるように名門私立高校に通うとても頭の良い連中なのですが、それがアホやってる場面がとても良い。わかってやってるところがなんとも言えず。ドロッとしたもの冷たいもの汚いものが背後にあるくせに、酒盛りして寝てしまえば、考えた末に乗り越えられるんです。
■人間みんなそれぞれに必死になって考えてるんだろな、とか大人のバカさ加減とか、愛情の微妙さ加減とかそういうもの全部捨てていられる場所としてのネバーランド。もう戻れないけれど、私は未だにそういう頃を愛してるのかもしれない。だから妙にツボにはまったのだと思いました。私の中で、良い本です。
★★★★☆