スキップ観ました。キャラメルボックス

演劇集団キャラメルボックス2004タイムトラベルシアター『SKIP』:観ました。一番の感想はアンケートと書いているアンケート用紙(行った人しかわからないネタですみません)にばぁっと殴り書きして来たのですが。おかげで言いたいことは吐いてしまった感が。まぁキャラメルの舞台には、何か自分だけの体験みたいな部分があって。何と書いて良いか話して良いかよくわからない部分なのですが。劇自体よりもそっち(という幻お化け)を観てるような。と書くと変な人ですが。舞台の上で進行している芝居とは別の経験をしてるんです。それって正しいことか良く分からないですけれど、私はそれがあるから演劇や映画が好きです。最後、1ピースを入れるのは自分、ということで。映画より演劇の方がこの経験は多い。今日、そしてナツヤスミ語辞典はそれが本当に感じられる芝居です。逆に話として好きなブラック・フラッグ・ブルースみたいなのもありますけれど。
■芝居として観た場合は、テンポ早すぎで一杯一杯でした。本当に。スキップは本当に好きな本だから私は大丈夫でしたが、読んでない人は果たして着いて行けるのかちょっとハラハラです。席が22列目と後ろだったため、顔までしっかりは見えなかったせいもあるのかもしれないですけど。ひょっとしたら予習必須なのかもしれない。
■原作のファンとしては。とんでもなく重い想いを抱えたまま2時間過ごしました。何度も泣きました正直。真理子の気持ち、美也子の気持ち、何か痛かった。あまり具体を書くとネタバレになるので、書きませんけど(今日東京初日ですし)。本を読んだ時の場面が目の前にありました。それは確かです。展開の早さは気になりましたが、作られた北村薫の世界は全く嘘では無かった。今まで、原作が好きなものが映画化やアニメ化やされてそれをも好きになったものってあまり思い浮かびません。ショーシャンクの空に(原作は刑務所のリタ・ヘイワースでしたっけ?)、くらい。失望したことは沢山ありますが。行間を読んで勝手な想像をしてるんです、私という人間は。キャラメルのスキップはそんな意味で本物でした。キャラメルファンとしてよりも北村薫、スキップファンとして、その点はとても幸せでした。
★★★★☆

■以下ネタバレ。かつ独り言。

■私はこの芝居を観ている間、昔の自分と会ってました。会ってたというか見てました。ただ16、7だった頃の自分を。一生懸命で頑張ってた多分かっこよかった自分を。スキップを読んで感動した頃の自分を。その時思い描いていた物が手に入らなかった自分から。志望大学に受かった、一人暮らしもしてる、でもその頃思ってた完全な未来は手に入らなかった。そして今の自分はかっこ悪い。もっと何かに必死で生きなきゃいけない。頑張らなきゃいけない。このままじゃいけない。わかってながら何もしない情けないかっこ悪い。本当にかっこ悪い。漫然と日常を過ごす、その事があれほど嫌だった高校の時の私は。あの私がスキップしてきたら、前向きには生きられない。だって、真理子と違って、入れ物の中身だったものでさえ皮だけなんだもん。そんなのってあんまりだ。あの頃の、スキップの心。時を越えて、キャラメルの舞台を経て、私は数年前の自分と邂逅した。あの頃には戻れない。やり直すことなんてできない。でもせめて、やり直したいと思わない、そんな人間になりたい。好きな言葉は自尊心。今がある。今頑張れ。今。