TRUTH

TRUTH:ついに観ました。劇団キャラメルボックスのTRUTH。友達がキャラメル最高傑作と言い張るので、ビデオを借りて。いや、面白すぎました。初めはそんなに真面目に観てなくて(クセなんですよね、ビデオを見るときは何か他の事をしながら…ってのが多い)、なのに、無茶苦茶に弾きつけられました。もう時間感覚がよく分からなくなって、2時間なはずなのに数時間も経過したような密度の濃い時間を体験できました。よく言うような時間を短く感じる、のの逆の体験。…全く、キャラメルは凄い。と改めて思った次第。友達、ありがとう。
■是非、劇場で観たかった、が一番。次が弦次郎(岡田達也)と英之助(大内厚雄)かっこいい。ついこないだ、ブラックフラッグブルースでダブルキャストで観てるだけに特に。彼らの演技が大好きです。更に鏡吾(上川隆也)、うーあー…そんなん有り得ない…って…。という感じ。実は上川さんはキャラメル曰く「テレビに魂を売っている」状態なので舞台上で観たことが無いのですが、是非一度観たいと思いました。もし、生で観てたなら、痛い程に感じる心は鏡吾から来るのかもしれません。
■完全ネタバレになっちゃうんですけど、真ん中辺りで弦次郎と英之助が昔の場面を演じるところが大好きです。もしも一人の人を親友同士が好きになったなら、とんでもなく切ないんだけど、こういうあり方もあるのかと別解釈を見つけた気分。争いになるばかりでは無いのです。英之助を切ってしまってからだけにあのシーンは痛すぎるものがありました。お互いに相手の幸せを願ってたのだなぁ、というのが何とも。初音(岡田さつき)はきっとどちらの気持ちにも気がついていて、しかもどちらも好きだったんじゃないかなぁと思いました。人間、一人の人だけを好きになるとは限らないと私は思います。それは中途半端な気持ちではなくて、本気で。それで弦次郎も英之助もそれがわかってるから両方とも切り出せず、と。うぁ…。岡田さんも大内さんもやはり上手い。
■そして、鏡吾。何と言ったら言いのだろう。行動は分かる。気持ちもきっと…分かる。でも、許せはしない。片方は仲間だと思っていてももう片方は思ってないことってあるんでしょうね。きっと、鏡吾は本当に本当に辛かった。一度裏切ると決めてしまったらもう戻れなかったのだろう。彼も初めは仲間になれたことが嬉しかったし、身分なんか気にするな、という皆の言葉も嬉しかったと思うけど、どこからか違和感とか小さな亀裂が入っていったのだろう。笑って誤魔化して、でもそれって何かを磨り減らしている。そういう小さな疑いは揺れる鏡吾の中で少しずつ振動を大きくしていって、そしてふと決めてしまった。そうなってしまったら、もう自分を悪役にするしか無かったのでしょう。きっと彼は皆が好きだったから。理由をつけていかないと納得できなかったのではないでしょうか。…勝手な解釈ですけれど。理解はできます。でも、私は彼を許せません。
■それでも、彼を切らなかった弦次郎は凄いのだろうと思います。普通なら殺しても殺したりない程ではないでしょうか。弦次郎には誰かのせいにする理由は山ほどあったのにそれを一切せず、しかも生きるという選択肢を選んだのは本当にかっこよかった。聴こえないはずの耳に届いた英之助の言葉は絶対に嘘では無いと。切る瞬間自分の名前を呼んだ声は聞こえなくとも、TRUTHは聞こえたんです。聞こえて良かったんです。
■感想生絞りって感じなので読みにくい文で申し訳ないです。くさいこと書いててちょっと恥ずかしいね…。しかし、この劇は本当に素晴らしいです。真面目な部分だけしか書いてませんが、この途中ですっとかわすギャグがまた非常に面白かったし。いつか再演に期待したいな…。