水曜の朝、午前三時

水曜の朝、午前三時 (新潮文庫)

水曜の朝、午前三時 (新潮文庫)

まず、素敵なタイトルだなぁと。あと作家説明を眺めてたら同郷でした。どうでもいいことのようだけど、ちょっと珍しいので嬉しくなる。
この文章の雰囲気は好きです。静かだけど力がある。亡くなった母からのテープという設定も素敵です。特別に大きな何かが残るわけではないけれど、すっと水のように入ってきて浸透するような小説でした。
大阪万博は生まれる随分前の話だし、私の周りに万博の話をする人もいなかったので、興味深く読めました。ああいう高揚感って良いなぁと思います。物語は差別意識からくる悲しい話なんですが、あの雰囲気の中だとある意味で自然であるような気がしました。全ては流感のようなものなのかもしれません。本当に雰囲気に浸かってうんうんと読めてしまう話でした。

★★★★☆