出口のない海

出口のない海 (講談社文庫)

出口のない海 (講談社文庫)

■映画化されてたけど見てない。興味も無かった。けど、なんとなく読むものが無かったので読んでみた。一気に読めました。読みやすい文体、上手い構成、展開の吸引力、その辺に文句のつけようが無かったです。正直、何度か涙が出てきました。こういうの読んで泣くのは安易な誤魔化しな感じがして嫌なのですが、泣けるものは仕方が無い…。カイテンのことは知らなかったです。本当にこんな風にして死んでいった人たちがいることが哀しい。愛国心とかそういうのでなく悩む形がリアルで哀しかった。決意するところもボレロも最後の死も。でも、これを読むとそう言うのはまたなんか違う気がした。何て言えばいいかわからない。少なくとも、今私は、国のために大切な人のために死ねと言われたら、彼らのような心境には至らないだろう。それは良い事か悪いことか分からないけど。日本は変わったんだろうなぁ。
■野球はあまり関係ないのかも。でも何かこういう物語と野球は合うね。北の存在も沖田の存在も良い感じ。
■そいうえばこの主人公と私の祖父はおそらく同い歳に当たるような気がする。私の祖父は陸軍士官学校に通っていたため、戦場に立つことなく終戦を迎えたと聞く。どんな思いで戦地で死んでいく同じ歳あるいは自分より若い人々のことを見ていたんだろう。どんな思いで終戦を聞いたんだろう。聞いてみたいと思った。

★★★★☆