Nobady Knows

誰も知らない [DVD]

誰も知らない [DVD]

誰も知らない:ようやく観れました。公開されたころから観たかったのですが、なかなか巡り合せが良くなくて、今日DVDで鑑賞。感想、まず、映画館で観たかったです。良かった。
■日本の映画で、宮崎駿じゃなくて、かつシリアスなもので、ここまで良いのは初めてです。ジワジワと良い。柳楽優弥カンヌ映画祭で賞をもらったのも頷ける。彼だけじゃなくて、YOUさんも素敵だったし、周りの人全てが子どもも含めてとても安定感のある良い演技をしていました。だから、現実に引き戻されることなく映画自体に集中できる。先々週観たデビル○ンとは大違いだ。
■物語としてはとても重いテーマで、ふとすると暗くて辛いものになりそうなのが、明るい場面の多さと必死に生きてく子どもたちの潔さのおかげであまり暗く見えない。これがよかった。親に放っておかれて、捨てられるよりも悪い状況に置かれて、それでも現在の生活を守りたいと思う彼らの心に動かされる。羨ましいくらいです。
■本当は、こんな状況に置かれる子どもというのは絶対に出しちゃいけないし、この母親は言い方が悪いけれど人間のクズだと思います。だってやってることが大学生と一緒。子どもが4人もいるのに、それをまるでたまごっちとかそういうやつみたいに邪魔になったからと捨てて、そしてまた気が向いたら愛情染みたものを与える。あなたは何様ですか、と。それでも子どもはあなたを愛するしかないのに。この映画はフィクションだけれど、全く有り得ない話ではない。それがとても怖いです。子どもに無条件の愛情を傾けることができるのは親でなくてはいけないと思います。親も人間だから完璧にはいかないかも知れない、でもそれでもいつも愛さなきゃいけないし、いつも守ってやらなきゃいけないと思います。そうじゃないとおかしい。…一方で、小学生中学生で取り返しのつかない事件を起こしてしまったり、この映画の中でも描かれてた万引きをしたり、ということがあるのが現代の病なのかもしれませんね。
■話が逸れましたが、音楽が素敵でした。主題歌ももちろんなのですが、それ以外の曲も全て的確で心地よい。全てのピースがはまった感じでこういうのってなかなか無いなぁと思いました。淡々としてるのに飽きない。ラストはとても哀しかったけれど。好きなシーンはアキラが弟妹を外に連れ出すシーンのニッと笑うところ。この映画を象徴してる気がします。
★★★★★