アフターダーク

アフターダーク

アフターダーク

■読み終わりました。こんな書き方すると偉そうですが、今までの村上春樹の中で一番まとまってる気がしました。読みやすかったし最後に安心できた。まるで本当に暗闇から朝を迎えたように。実際のところ、きっかけは掴めたかもしれないけれど、ほとんど何も解決していないのだけど、ふと綺麗な話だと納得できた。基本的に私はラストまで納得することって珍しいのだけれど、これは納得した。
村上春樹は大好きなのですが、読んでると捕りこまれてしまう。本を読む、ページをめくる、先を追いかける、それ以外のことを全部投げ出したくなる。読み終わっても3日くらい何もする気がおきなかったり。ぼーとしてる。例えば、一番最近読んだ「海辺のカフカ」もそうだった。しかし、今回のアフターダークはそんな気がしなかった。徹底した冷たいまでの3人称のせいか、夜という静かな世界のせいかわかりませんけれども。温かみを感じて、次のことに移れる気がした。他の作品ほど強く揺さぶられるわけじゃない、けれどそのジワジワする感じが好き。実験的とか言われてますが、私はこれはこれで完成形である気がします。ますます、次の本が楽しみになりました。
★★★★★