国境なき医師団

「国境なき医師団」が行く (That’s Japan)

「国境なき医師団」が行く (That’s Japan)

国境なき医師団(MSF)についての本。バイトで教えていた医学部を目指す生徒から貸してもらいました。高校のころから私の周りには結構何人も将来はこれのメンバーとして発展途上国に行きたいと言う人が何人もいて、彼らはこういうのを読んで、それに動かされてたのかなぁとか思いました。私は正直あまり(この本には)動かされなかったです。こういう人もいるのかな、くらい。…私は医師には向いていないのでしょう。誰かの役に立ちたいという心が無いわけではありません。しかし、誰かを救いたい、しかも医学を使って、という心はない気がします。救う力を持つと言うことは同時に救わなくてはならないという責任を背負うわけで(それこそ貫戸さんの言っている「私たちの待合室には何千万もの人々がいる」ということ。反対にこういう気持ちのない医師はそれでも良いけれど何か大切なものが欠如している気がする)、私はそれが怖い。医師という道を目指す人間はもうその時点で私とは違う種類の人間だと思います。彼ら彼女らは凄いです。
■この本では、医師どうのより西洋社会の考えの押し付け、しかも自覚の無い、の方がショックでした。MSFとかは世界でも有数の人道的で進んでる機関だと思ってました。でもその中にこんなにもの確執や矛盾があるなんて、という感触。とくに差別の話は怖いです。「あなた今差別しましたね?」と言われて分からない人間。そういう人間にはなりたくないです。日本は変にヨーロッパの影響を被り続けているから、これからそういう無自覚な人間が増えていく可能性も否定できない。教育は学力低下云々の前に(ひどすぎるのは困るが。せめて日曜日と漢字で書けなかったり、小数の掛け算が出来なかったりする中学生は作らないで欲しいです。)そういうのをしっかりする必要があるのかもしれない(と言いつつ…それを決める政治家とかは無自覚すぎるので無理でしょうけど…その前の家庭の教育?)。
■余談だけど。医学部の友達曰く、「解剖の時の死体は人間ではなく別の物を切っているような感覚」と聞いたときは別の意味で怖かった(笑)ホルマリン漬けの人体なんてそんなものかもしれないが、一般人の側から見るとそれは怖いです。或るはずの場所に血管が無くて大変だった、という話とかね。
★★☆☆☆