1973年のピンボール

1973年のピンボール

1973年のピンボール

1973年のピンボール村上春樹著。読了。あはは…すごい本だ。物語というものがひどく無力に思えてきた最近です。物語、ストーリーなんてものは必要ないのかもしれない。
■1973年。この時代のことを私は知らない。生まれてさえいないのだから。けれど、感じることはできる。文章の隙間に空気を想像し、街を眺めることはできる。羊をめぐる冒険を先に読んでしまってた(ちょっと後悔)ので、物悲しい雰囲気から逃れられなかったのだけれど。ピンボール。これも私は本物に触ったことが無い。以前ネットで解説してある文章を読んだことがあるだけ。でも、寒い倉庫の中で死んでた彼女らに電気が流れた瞬間、怖いほどに情景が見えて焦った。すごいんだろう。1973年、その時代を見てみたい、そう思うような、見たくないと思うような。誰もが不器用で、それが現代より何か綺麗な時代、そんな想像しかできないけれど。何かノスタルジックな渇望のような。手に入れたことも無いのに取り戻したいと思うような。現代という時代が、こんな風に語られることはあるのだろうか、と考えてしまいました。
★★★★★