村上春樹<羊をめぐる冒険>

羊をめぐる冒険 (上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険 (上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険 (下) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険 (下) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険:またしても読書日記は村上春樹。ちなみに次も村上春樹の予定です。3部作と言われる真ん中の1973年のピンボールを飛ばしてしまいましたから、今日それを購入してきました。村上春樹に憑かれてる(いっそヒツジのように)ようなものです。
羊をめぐる冒険。何となく羊って怖いのですが、私だけでしょうか。黒い顔と白い毛と(種類によって違うのかな?)あの感情の無さそうな目が相当怖いです。想像しすぎると夢に出てくる…。だからこの文章はある種の非現実的なリアルを持って私には見えました。私はちょっと鼠が好きです。自己矛盾の塊であるみたいな。僕、のことも好きですけど。僕、はちょっと自分に似てる気がする。だからその友人である鼠が好き。あるいは誰にでも似てるのかもしれない。巧妙さを持って彼は凡庸であり、そしてみんながそれを抱えてるんだから。と、何が言いたいのか相当に意味不明ですが。ねじまき鳥クロニクルよりもちゃんと物語として着地してたので好きでした。鏡のシーンは非現実感ばかりだった中にパンチを喰らわせられたようにショックでした。答えは、僕、と私を現実に引きずり出したのです。何かを失わせることを引き換えにして。最後に僕、がとった行動が好きです。好きという言葉を使うのならこの本の全ての文章が好きです。愛してる、じゃなくて好き、そんな言葉が似合う本でした。
★★★★★