ぼくは勉強ができない

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

■主人公、時田秀美はかっこいいと思う。こんな奴になりたい。そう素直に思える本でした。実は、タイトルが何か嫌で読んでなかったのですが、もっと早く読めばよかったな…。別に勉強ができないということは開き直りでも僻みでもありません。
■読みながら気がついたのですが、これ、昔、NHKFM青春アドベンチャーでやってませんでしたか?何でもないシーンを覚えてて。初めは気がつかなかったのですが(聴いてたのは中学生だった頃です…ミュージックスクエアを聴いてそのままにしてるとやってたっけ)、隣のクラスの女の子が停学になった時に秀美が遊びに行った、という場面で彼女が爪の手入れをしている場面が未だに鮮明に自分の中にあって…、彼女が痛そうな顔をしてて、秀美が不思議に思うという、…この場面を読んだときに、あ、あれだ…って。何か凄くヒヤリとする瞬間でした。人間ってとんでもなく全くどうでも良い事覚えてます。本当に他にも覚えておけるべき場面は沢山あるのに。不思議です。そして鳥のためと言ってパンを貰ってる女の子。彼女に秀美が泣かれてしまう場面も覚えてた…気がした。こっちは最初のやつほど鮮明ではなくて、これは知ってる、的な。切り離された一場面として、教頭先生の手を秀美が噛んで血が滲むところも。前後は全く無いのが不思議です。
■突然ですが、私は可哀想、という言葉が嫌いです。いつからそうなったかは覚えてないけれど、できるだけ使わないようにしてるし、使ってしまうしかないときは自分は何て嫌な人物で汚いんだろうと思います。だって無責任じゃないですか。で、思ったんですけど、この考え方、見えないところで、この話から影響されて来てるのかも知れない。これだけじゃなく私の考え方、反発するようなそうじゃないような、これって凄くこの話っぽい。上手く言えないのだけど、私が目標としてる人間、それが秀美でありその母でありその祖父でありサッカー部の顧問であり。こんなところで自分の欠片を見つけた、そんな気分です。意識なんかしてなかった、けれどこれは間違いなくひとつの私の基盤です。
■あった…1998だそうです…歳がわかりますね…「1998年青春アドベンチャー」:Megとか完璧な涙とか封神演義とか少年漂流記とか海賊モア船長の遍歴とかこれは王国のかぎとかも聞いてたなぁ…原作読みたいのあるなぁ…あの頃は宮部みゆき知らなかったけど聞いてたのかなぁ…聞いてれば…今こんなに宮部が面白いと思うのに、何か勿体無い気分。